基本情報技術者試験の勉強を始める人は、情報処理技術者試験の初受験者が多いと思います。
本屋さんで見た参考書の分厚さに驚き、以下のような悩みを抱えてませんか?
確実に合格するにはどのくらい勉強すればいいの?
毎日忙しくて時間がない…。どうすれば効率よく勉強できる?
どの参考書を選べばいいかわからない。オススメの参考書も知りたいな。
そんな不安を解消すべく、試験に1発合格した私が実践した『3ヶ月で効率よく勉強する方法』と『オススメの問題集』をご紹介します。
当時を思い出しながらなるべく具体的に書いているので、同じ学習方法で未経験者でも文系出身者でもきっと合格できます!!
SEにとっての基本情報技術者試験とは
基本情報技術者試験への合格は、SEにとって最初の関門となります。
なぜなら、SEの世界ではこの資格を持ってて当たり前という風潮があるからです。
確かに試験範囲として学習する内容は、試験の名前の通り、IT業界で生きていくための基本的な知識となります。
新人でこの資格を持っていたら「すごい!頑張ったね!」と褒められますが、中堅にもなって持ってないと「入社してから何やってたの?」と社内でも客先でも冷ややかな目で見られます。
私の勤めている会社では、入社して最初に基本情報技術者試験を受験させられます。
会社が資格の取得を勧める理由は、就職活動や客先面談において、持っている資格が自分の価値を示しているからです。
そして3年経っても基本情報技術者試験に合格できなかった場合は、合格できるまでマイナスの手当、つまり減給されてしまいます。
さらにこの資格を持っていないと、永遠に昇級ができません。
それほど「基本中の基本」という扱いなのです。
でも安心してね。あとでお伝えする勉強方法で無事に合格できます♩
合格率は低め
しかしながらこの資格、最初の関門としては位置付けられている割には、難易度がかなり高いんです。
以下の画像はIPAがwebサイトで発表している、情報処理試験の統計情報です。
ここで各試験の受験者数、合格者数などのデータを参照できます。
引用元:IPA 統計情報(令和元年)
平成31年度春期(2019年4月)に実施された基本情報技術者試験は合格率22.2%です。
どうですか?想像より合格率低くないですか?
社会人や専門学生など、幅広い年代でさまざまな分野の人が受験しているとはいえ、毎回の合格率は20〜30%とかなり低く、真剣に勉強しないと合格できません。
3ヶ月前から試験勉強を開始
基本情報技術者試験は1年で2回受験できます。
絶対に合格したいなら、試験日の3ヶ月前から勉強を始めましょう。
春期(4月)を受験予定であれば1月から、秋期(10月)であれば7月からになります。
どうして3ヶ月前から始めるのか
一般的に、基本情報技術者試験の標準勉強時間は
- 事前知識のない場合、200時間
- 事前知識のある場合、60時間
と言われています。
これを実現するためには、まずは1週間でどのくらいの勉強時間を確保できるかを算出します。
あなたが平日出勤の会社員だと仮定すると
- 平日:(通勤で往復1時間)+(自宅で2時間)=3時間
- 休日:8時間
- 1週間:(平日3時間×5日)+(休日8時間×2日)=31時間
1週間で31時間の勉強時間が確保できることになります。
事前知識のない場合は200時間必要なので
200時間÷31時間≒7週間
約1ヶ月半を勉強期間にあてなければいけません。
1ヶ月半前からじゃ間に合わない?
じゃあ1ヶ月半前ギリギリから試験勉強を開始すればいいかというと、そうではありません。
現実には予期せぬ事態が起こります。
- 体調不良や急用で勉強できなくなる
- 予定より理解に時間がかかる
- 参考書などがなかなか手に入らない
実際に私も試験勉強期間中に、風邪をひいて数日寝込んだり、家族が入院したので急いで病院へかけつけたりと、思うように勉強できない日がありました。
だから余裕をもって、できれば倍の期間、つまり
1ヶ月半×2倍=3ヶ月
を確保しておくことをオススメします。
時間が余っても、苦手分野の克服や、もっと前の過去問を解く時間にあてればOKです。
私は3ヶ月程前から試験勉強を開始していたので、上記のような予期せぬ事態で学習計画に多少の遅れが発生しても、ちゃんとカバーできました。
SEとして働くとよくわかりますが、スケジュールには余裕を持たせておかないと後々苦労します。
時期別の勉強方法
これからお伝えする勉強計画を3ヶ月間きっちり進めていけば、余裕を持って試験に臨めます。
やるべきことを試験日から逆算して計画を立てているので、必要な勉強を効率よくこなせるからです。
私の場合は残業しようが体調不良になろうが、計画に余裕を持たせているので試験範囲はバッチリ網羅できました。
さらに同じく合格できた同期にも聞いたところ、似たような勉強計画を立てていたのがわかりました。
では時期ごとの勉強方法を具体的にご紹介していきます。
3ヶ月前の勉強方法
まずはひととおり全分野を網羅するのが目的です。
わからなくても、とにかく問題を解き、さらに休日に再度解くことで、反復学習による記憶の定着をはかります。
覚えるためには反復学習が効果的なので、この勉強方法では繰り返し解くことに重点を置きます。
平日
電車やバスでの通勤を利用して、参考書やスマホアプリを使い、知識の習得時間にあてます。
隣の席が空いてたり、ガラガラの車内であれば、問題を解いてもいいと思います。
自宅では通勤時間で習得した分野の問題を解きながら復習します。
- 通勤時間:スマホアプリor参考書で知識の習得
- 自宅:通勤時間で学習した分野の問題を解く
休日
学習した内容を覚えているか確認するため、平日に間違えた問題を再度解きます。
時間が余れば次の分野の学習を始めます。
以下の優先度順に実施することを心がけましょう。
- 平日に間違えた分野の問題を再度解く
- 先週の休日に間違えた分野の問題を再度解く
- 新しい分野の知識の習得
- 新しい分野の問題を解く
2ヶ月前の勉強方法
試験範囲学習の2週目に突入しますが、やることは最初の1ヶ月と変わりません。
ただ理解度や解答速度は上がっているはずです。
1週目でわからなかった分野を克服するつもりで挑みます。
ちょっと気持ちがダレてしまうこともあるかと思います。
そんな時は周りを見てみて下さい。
昨日オールしちゃった♩
なんて言いながら、みんな実は内緒でこっそり勉強してるんですよ。
だからあなたも今少しだけ頑張りましょう!
1ヶ月前の勉強方法
過去問をメインに解いていきます。
試験は過去問から出題されることが多いので「過去問を制する=試験を制する」と言えます。
また同時に、苦手分野の克服にも力を入れていきます。
平日
今までと同じように、通勤時間と自宅での自由時間を使って反復学習します。
時間や精神的に余裕があれば、過去問に取り組みます。
疲労が溜まっているのであれば、無理せず体を休めましょう。
試験が近づいているので、体調を崩して数日寝込んでしまうことのないよう、休養することも忘れずに。
休日
1日に1回分の過去問を、時間を計ってリハーサルとして解きます。
できれば本番に近い環境で実施します。
私はYouTubeで試験会場の環境音を流しながら自室で挑みました。緊張感もって取り組めるのでオススメです。
その日のうちに答え合わせまで行い、どうして間違えたのかを分析し、問題集で復習します。
たとえ過去問の自己採点結果が悪くても、落ち込む必要はありません。
しっかり学習しなおせば合格できるからです。
試験前日
得意な分野の問題を数問解いて、明日への自信をつけます。
そして試験に必要な物、着ていく服を準備し、早めに寝ます。
不安になるかもしれませんが、試験当日の体調を万全にするのが最優先です。
一夜漬けは絶対やめましょう。
試験中に脳が働いてくれず、残念な結果になってしまいます。
系統別・分野別の勉強法
全範囲を学習するのが基本ですが、どうしても勉強時間が足りなくなったり、苦手分野が克服できなかったりした場合でも、絶対にやるべき分野・やっておくとよい系統をお伝えします。
なぜなら、必ず試験に出る分野を完璧にすれば、それだけでかなりの得点を稼げるからです。
実際に試験範囲を確認してみると、重要な系統・分野が見えてきますよ。
午前試験
選択問題の全80問は、よく見ると系統別に出題問題数が決まっています。
例として2019年春期に行われた午前試験を見てみましょう。
- 1〜50問目:テクノロジ系
- 51〜60問目:マネジメント系
- 61〜80問目:ストラテジ系
(参考元:基本情報技術者試験 過去問と解説)
このようにテクノロジ系の出題数が圧倒的に多く、約6割ほど占めています。
なので学習しておくべき系統の優先順位は、以下のようになります。
- テクノロジ系(50問)
- ストラテジ系(20問)
- マネジメント系(10問)
だからといってテクノロジ系だけの学習では、合格は厳しいです。
ストラテジ系とマネジメント系が全滅だった場合、テクノロジ系が全問正解していないとダメということになるからです。
あくまでも優先順位なだけです。
また、詳細は次の「午後試験」の中でお伝えしますが、ストラテジ系とマネジメント系も学習しておけば、午後試験での選択可能分野が増えるので、気持ちに余裕ができます。
午後試験
午後試験は2020年春期から出題要項が見直されます。
IPAのwebサイトで、以下のように見直し項目が発表されているので確認しておきましょう。
引用元:IPA 基本情報技術者試験における出題を見直し
現行とは少し変更されますが、出題分野は変わりません。
ソフトウェア開発で選択できる言語がCOBOL→Pythonに変わるので、コボラーには痛い変更ですね。
上記の表より、絶対に出る分野は下記の2つです。
- 問1:情報セキュリティ
- 問6:データ構造及びアルゴリズム
この2つは必ず解けるようにしておきましょう。
午前試験でテクノロジ系を優先して学習していれば、自然とこの2つの分野も学習範囲に入っているはずです。
問2〜5は、本番ではひととおり目を通し、解けそうな問題を選択します。
テクノロジ系となる問5以外を優先的に、目を通してみましょう。
午前試験対策でストラテジ系・マネジメント系も勉強していれば、問5も選択候補に入れることができます。
ソフトウェア開発は「表計算ソフト」1本だと危ない
問7〜11の「ソフトウェア開発」は、開発経験の有無で選択言語が変わります。
- 開発経験あり:「表計算ソフト」以外の開発経験のある言語を選択
- 開発経験なし:「アセンブラ言語」を選択
マクロ開発経験者もしくは開発未経験者は「表計算ソフト」を選択しがちですが、意外と問題文の量が多く、解答に時間がかかります。
それにもし解けない場合、別の問題に切り替えることができないので、「表計算ソフト」1本で挑むのは危険です。
「表計算ソフト」以外も選択できるよう、別の言語を1つ勉強しておきましょう。
「アセンブラ言語」なら覚えることが比較的少ないので開発未経験者でもオススメです。
「表計算ソフト」は最後の手段に取っておきましょう。
まとめ
この勉強方法を実施すれば、あなたの合格率は上がります。
出題頻度の高い系統・分野を重点的に反復学習を行い、きっちり過去問をこなすことで、効率よく確実に得点源を増やせるからです。
- 基本情報技術者試験の合格率は20〜30%と難しい
- 標準勉強時間は200時間だが、試験勉強は余裕を持って3ヶ月前から計画的に始める
- テクノロジ系→ストラテジ系→マネジメント系の順に学習する
- 「情報セキュリティ」「データ構造及びアルゴリズム」は絶対出る
- 「ソフトウェア開発」では「表計算ソフト」は最後の手段
合格には6割の点数が必要ですが、私はこの方法で8割以上取れました!
「6割取れればいいから」と試験勉強で手を抜くと、ギリギリ不合格になってまた半年勉強するはめになるのでオススメしません。
受験予定の人はこれまで解説した勉強方法を試してみてくださいね。
また基本情報技術者だけでなく、他の情報処理試験での勉強にもきっと役に立つはずです。
オススメの問題集
最後に、私が試験勉強で実際に使った問題集をご紹介します。
過去問が3回分ついているので、この本だけで最低限分の過去問を解けます。
また、解説がかなり詳しいので、間違えたときにわざわざ別の参考書を開いて確認する手間が省けます。
載っている問題は、実際に試験で出題されたものがほとんどなので、過去問での勉強にもなり一石二鳥です。
次に目指すべき資格
基本情報技術者試験に合格したら、次は応用情報技術者試験を目指しましょう。